2013年03月03日
『更級日記』
 (角川ソフィア文庫ビギナーズクラシックス)

父親は、学問の神様「菅原道真」の五代目。母親は「蜻蛉日記」の作者・菅原道綱母の妹。そんな家庭環境で育った「更級日記」の作者。彼女が少女時代に夢中になっていたのは物語を読むことでした。その後、大人になって宮仕えをはじめ、30代で結婚。そして出産。しかし夫を早くに亡くし、やがて息子の行く末を心配する母となっていきます。「1000年の時を超えて作者に親近感を覚えてしまった」と小川洋子さんが感じたように、「更級日記」のエピソードには、現代の女性が味わう人生の悩みや喜びと重なる部分が沢山あります。少女時代、物語に夢中になることで得た感受性で、歴史に残る日記文学を残した菅原孝標女。その想いは、1000年後の私たちが読んでも瑞々しく伝わってくるのです。

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