2013年03月03日

『更級日記』
 (角川ソフィア文庫ビギナーズクラシックス)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「ひな祭り」にあわせて選んだのは、古典文学の中から「更級日記」。平安時代を代表する女流文学のひとつです。作者は菅原孝標女という女性。彼女が自分の人生を思い起こしながら40年にもおよぶ月日を綴っています。平安時代の女性の日記というと、今までにも「和泉式部日記」や「蜻蛉日記」を味わってみました。このふたつは恋愛や結婚を通して作者である女性の奥に秘めた激しさが伝わってくるような作品。しかし今回の「更級日記」は、夢見る少女が大人になって結婚をして子供をうみ、年老いていく。平凡かもしれないけれど、彼女にしかかけない自分史が綴られています。

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