2013年01月20日
木下順二
『夕鶴』
 (新潮文庫)

戯曲の魅力のひとつがセリフ。「夕鶴」では「つう」が標準語。「与ひょう」とその他の登場人物は方言。つかう言葉にも登場人物の個性が表れています。では木下順二が言葉にこだわるきっかけはなんだったのでしょうか?それは子供の頃の体験。大正3年に東京で生まれた木下順二は、小学4年の時に父親のふるさと熊本に移り、そこで中学・高校時代を過ごします。転校したばかりの教室で、自分がつかっている「東京弁」をからかわれたとか。そのことから言葉に敏感になり、戯曲を書く時にも言葉選びには強いこだわりを持つようになったそうです。戯曲を読む楽しみのひとつがセリフ。いきいきとした言葉から登場人物の存在感が伝わってきます。

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