2013年01月20日

木下順二
『夕鶴』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

戦後を代表する劇作家・木下順二。彼の代表作が「夕鶴」です。「与ひょう」という村人に助けられた鶴が、恩返しをするために「つう」という人間の姿になって一緒に暮らすという戯曲。1949年(昭和24年)に発表されて、学校の教科書にも掲載されています。この作品は民話を題材にしたお話ですが、ではなぜ木下順二は民話にこだわったのか?それは戦争中のこと。何もかも犠牲になってしまった時代に、民衆の知恵が生み出した民話に魂のふるさとを感じ、郷愁にかられたからだそうです。新潮文庫の「夕鶴」には、この他にも、「わらしべ長者」「聴耳頭巾」など民話をもとにした戯曲が掲載されています。

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