2012年12月23日

岸本佐知子
『ねにもつタイプ』
 (筑摩書房)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今回取り上げたのは、小川洋子さんが折りにふれ手に取り、読み返しているというお気に入りのエッセイ集「ねにもつタイプ」。翻訳家の岸本佐知子さんよる1冊です。雑誌「ちくま」に連載されていたエッセイをひとつにまとめて2006年に出版。講談社エッセイ賞も受賞しています。「この本の素晴らしさはタイトルにすべて凝縮されている」と小川洋子さん。ねにもつタイプ特有の粘り強さにより、気になる部分にひたすらこだわり続け、凡人には思いも及ばない特異な世界を見出しています。そのこだわりは、時に「ミシン」だったり「ちょんまげ」だったり「図鑑」だったり。普通の人なら気にならない部分へ深くこだわっていきます。

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