2012年12月09日

新田次郎
『八甲田山死の彷徨』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

山をテーマにした作品を数多く残し「山を描ききった作家」と言われる新田次郎さん。生誕100年にちなんでその代表作「八甲田山 死の彷徨」を取り上げました。この小説は実話に基づく作品。日露戦争の2年前(1902年)、日本陸軍はロシア軍とどう戦っていくかを研究するために、厳寒期の青森県八甲田山に入っていきます。しかし想像以上に過酷な状況のため199名が命を落とすという事件が起きました。この事実を克明に調べて書き上げたのが「八甲田山 死の彷徨」。当時、国民には知らされないままだった事件の真相に迫り、また今、読むとリーダーとは何かを問いかける時代を超えた名作にもなっています。

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