2012年12月02日
ヘンリー・ジェイムズ
『ねじの回転』
 (光文社 古典新訳文庫)

物語は、主人公の女性がイングランド東部のお屋敷にやってくるところからはじまります。彼女は幼い兄と妹の家庭教師をすることになるのですが、やがてお屋敷に潜む謎にはまっていきます。以前、この家で働いていたクイントという男と家庭教師をしていたジェスル先生の亡霊を見るようになるのです。しかしその亡霊が本当に出たのか出ないのか。読んでいくうちに読者にもわからなくなってきます。実はこの小説、解決シーンが出てこない推理小説のようなもの。すべては読者に委ねられ、読んだ者が自由に解釈できるようになっています。19世紀の終わりに発表された画期的な小説。人間の心理に訴える作品だからこそ100年以上たった今も読み継がれているのでは。

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