2012年11月18日
ジッド
『狭き門』
 (新潮文庫)

小説「狭き門」の語り手は、主人公のジェローム。彼は12歳になる前に父親を亡くし、その後、叔父の住む、フランス北西部「フォングーズマール」に向かいます。そこで出会ったのが2つ年上の従姉アリサ。その後、アリサを苦しめる出来事が起こります。母親が家を出て行ってしまうのです。これは実際にジッドが体験したこと。従姉マドレーヌも、母親の不義を知って絶望におちいり、その時、ジッドは彼女を守ることこそ、自分の義務だと感じたそうです。その後、二人は結婚。マドレーヌは、ジッドの文学的創造の源泉となりますが、実際の結婚生活は幸福とは言えなかったとか。文学遺産がどのような状況から生まれたのか。それを知ると作品の奥深さをさらに感じることができるのでは。

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