2012年11月11日
川端康成
『古都』
 (新潮文庫)

昭和36年10月から翌年1月まで朝日新聞に連載された小説「古都」。これを川端康成が書いたのは62歳の時でした。作者による「あとがき」を読むと、当時の川端康成がどんな状態だったかがわかります。長年、眠り薬を使っていたということですが、古都を書く前から濫用するようになり、古都を書き終えた機会に薬をやめたとのこと。しかしすぐに激しい禁断症状を起こして病院に運ばれたそうです。「古都という小説がただ美しいだけでなく、ドキっとする波乱を持っているのは作者がこういう状況の中にあったからなのでは」と小川洋子さん。あらためてノーベル賞作家・川端康成の凄さを感じる小説でもあります。

...前に戻る