2012年10月28日
戸川幸夫
『高安犬物語』
 (国土社)

もともと幼い頃から動物が好きで、動物学者になりたいという夢を持っていた戸川幸夫さん。ではなぜ動物小説を書くのか、という質問にこう答えられています。「狭い日本国土の中で、人間に次第に追い詰められて、滅亡しつつある野生の動物たちに限りない愛着を覚えるからである。開発されて山奥へ、山奥へと逃げまどいながら、しかも不必要に殺されてゆく哀れな動物たち。彼らにだって生きる権利はあるはずである。」戸川さんがこう話されてから時は流れ、現在、さらに動物たちの状況は苦しくなっています。日本での動物小説を築き上げた戸川幸夫さんの作品。今、あらためて手に取り、彼が伝えたかったことを感じてみたいと思います。

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