2012年10月14日
近松門左衛門
『冥途の飛脚』
 (小学館 日本の古典をよむ)

浄瑠璃の中には、歴史的人物が登場する「時代物」と江戸時代の町人社会を扱った「世話物」というジャンルがあります。近松門左衛門は、特に「世話物」の名人。亡くなるまでに24作残し、そのひとつが「冥途の飛脚」です。物語の主人公は、大阪淡路町の飛脚屋「亀屋」の「忠兵衛」。彼は跡継ぎのため養子になった男。しかしその「忠兵衛」のもとに為替の催促が相次ぐところからはじまります。実は「忠兵衛」、その金を惚れた女に使ってしまったのです。実際に江戸時代に起きた事件を題材に書いたと言われる「冥途の飛脚」。読んでいると江戸の人達の暮らしや想いがリアルに伝わってきます。近松門左衛門の代表作「心中天の網島」とともに味わってみてはいかがでしょうか?

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