2012年09月30日

安房直子
『きつねの窓』
 (ポプラポケット文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今までに沢山のリクエストをいただいている安房直子さんの「きつねの窓」。学校の教科書にも掲載されている児童文学ですが、大人が読んでも心に残る作品です。物語の主人公は、鉄砲をかついで山道を歩いていました。たどり着いたのはどこまでも続くききょうの花畑。そこで白い子ぎつねを見かけますが、何故か見失ってしまうのです。すると彼のうしろで「いらっしゃいまし。」という声。「そめもの、ききょう屋」という青い字の看板の下に、紺色の前掛けをした子どもの店員が立っていました。ききょう屋で、自分の指を青く染めてもらった主人公。その指で窓を作って覗いてみると、不思議なことに、昔、好きだったけれど、二度と会えない女の子の姿が見えたのです。

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