2012年09月23日

『蜻蛉日記』
 (角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「枕草子」や「和泉式部日記」など、平安時代の女流文学の魅力は今までにも味わってきた「メロディアス・ライブラリー」。今回取り上げたのは「蜻蛉日記」。作者は右大将道綱母(藤原道綱の母)と呼ばれる女性です。彼女は美しく、歌人としても評判の高かった人物。しかし夫の愛情の頼りなさを嘆く「かげろう」のようなはかない結婚生活を送っていました。「蜻蛉日記」は、彼女の21年の記録。これを読むと平安時代の結婚や女性の苦悩を垣間見ることができます。当時は夫が通ってくるのをひたすら待つ「通い婚」。しかも一夫多妻。女性の心が常に不安の中にあったことを「蜻蛉日記」は教えてくれます。

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