2012年09月16日
武者小路実篤
『お目出たき人』
 (新潮文庫)

「心に響く小説は、必ずしも良い文章である必要はない」。そんなことを教えてくれる武者小路実篤の作品。力んだところも体裁も、整えようとするところもなく、とにかく主人公の内面にとことん忠実な文章です。そこが実篤先生の一番の魅力。彼の生き方にも通じるものなのではないでしょうか?自分の心に忠実に90歳まで長生きした実篤先生。そのポジティブな心は、私たちの生きるヒントになるのかもしれません。「人生は楽ではない。そこが面白いとしておく」「この道より 我を生かす道なし この道を歩く」。先生が残した数々の言葉。それをあらためて味わうと、私たちの心にも元気がチャージされるような気がします。

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