2012年09月16日

武者小路実篤
『お目出たき人』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「敬老の日」を前に選んだのは、武者小路実篤の小説「お目出たき人」。明治、大正、昭和を生きた実篤先生は、90歳まで元気に創作活動を続けられました。その生きるエネルギーはどこから来るのか?代表作を読みながら探っていきたいと思います。「お目出たき人」は、明治43年、25歳の時に書いた小説。主人公の強い恋心が綴られていますが、ここまで書くのかと思ってしまうほど、心の中に浮かぶ気持ちをストレートに表現しています。特に印象的なのは「自分は女に餓えている」という言葉。明治時代にこんな小説を発表したことだけでも実篤先生の凄さを感じます。

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