2012年09月02日
国木田独歩
『武蔵野』
 (新潮文庫)

国木田独歩の「武蔵野」は、なぜ必ず国語の授業で名前があがるのでしょうか?それは明治時代の文学の流れの中で、重要な作品のひとつだからです。明治時代には、人間のありのままの心理や性格を描いた「写実主義」や自我の自由をロマンチックに表現した「浪漫主義」。もっとあるがままの真実の姿を追求した「自然主義」などがありました。その中で独歩は「浪漫主義」から「自然主義」へ移行する時代の文学者。初期の作品である「武蔵野」は「浪漫主義」の代表作です。自然と人生を対比させて、自然の中に人生を描こうとした「武蔵野」。格調高い文章の奥に、ひとり佇み、また歩き出す静かな独歩の姿が見えてきます。

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