2012年08月19日

上田秋成
『雨月物語』
 (小学館)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

江戸時代の後期には「読本」という空想的な読み物が流行りました。その代表作のひとつが、1768年に書かれた上田秋成の「雨月物語」。短いお話が9篇収められていて、どれも不思議な世界を描いた怪異小説。今日、テキストに選んだ小学館「日本の古典をよむ」のシリーズには、4つのお話が掲載されています。その中で一番印象に残るのは「吉備津の釜」。7月の岡山特集で訪ねた「吉備津神社」が登場します。舞台は吉備の国。ある農家のひとり息子が、酒と女に溺れていました。それをなんとかするために、結婚の話が持ち上がります。その相手方が吉備津神社の神主の娘。この結婚は吉か凶か。「鳴釜神事」で占うのです。

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