2012年05月20日

永井荷風
『日和下駄』
 (筑摩書房 ほか)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

明治12年、東京の小石川で生まれた永井荷風。20代のはじめから小説を発表していましたが、23歳の時、父親の勧めでアメリカに渡ります。その後5年間、アメリカやフランスで銀行員として働き、28歳の時に帰国。海外での体験をもとに随筆「あめりか物語」そして「ふらんす物語」を発表。注目されるようになります。今回取り上げた東京散策記「日和下駄」は、永井荷風が帰国して6年たった35歳の時の随筆。つねに日和下駄を履き蝙蝠傘を持って歩いていたことから、この題名になりました。この作品の魅力は、読むことで100年前の東京を感じられること。永井荷風と一緒に昔の東京を歩く楽しさが味わえます。

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