2012年04月01日
森鴎外
『山椒大夫』
 (あすなろ書房)

「山椒大夫」は大正4年、森鴎外が54歳の時に発表した作品。もともとは中世に流行った説経節の有名な演目が原話となっているそうです。あらためて読んで小川洋子さんは「読み物としてとてもよく練られている」と感じられたとか。読者を惹きつける流れ、さりげない1行で姉の死を知らせるなど、計算された物語になっています。そして悲劇的なストーリーでありながら、読み終わったあとには感動が残ります。それはどこか人生を肯定的にとらえた作品だからかもしれません。どんな理不尽な環境にあっても人間は必ず成長できる。学校で「山椒大夫」を読む機会がある若者には、ぜひその部分も感じ取ってもらいたいと思います。

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