2012年03月18日
『西行〜魂の旅路』 西澤美仁 編
 (角川ソフィア文庫 ビギナーズクラシックス)

西行が残した和歌には自然を詠んだものが多く、特に桜の歌が目立ちます。「吉野山 桜が枝に雪散りて 花遅げなる年にもあるかな」という和歌は最高傑作と言われ、900年たった今、西行の和歌を味わうことで私たちも心のお花見が楽しめます。さらに西行はこんな和歌も残しています。「願はくは花のしたにて春死なむ その如月の望月のころ」。お釈迦様が入滅した2月15日の頃に死にたいと詠ったもの。実際に1190年、釈迦入滅から1日遅れた2月16日、73歳で亡くなっています。花とともに生き、花とともに散った西行。もし彼が出家せず、平清盛のように武士のままだったらどうなっていたのか?もっと早く亡くなっていて和歌の歴史も変わっていたかもしれません。

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