2012年03月04日

北杜夫
『どくとるマンボウ航海記』
 (新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

昨年の10月24日、84歳で亡くなられた作家の北杜夫さん。生前、社会的問題を扱った小説から軽快なエッセイまで様々な作品を発表されています。その中から今回選んだのは、ベストセラーのエッセイ「どくとるマンボウ航海記」。若き日の北杜夫さんは、精神科医として勤める傍ら、作家としても作品を発表しはじめていました。そして1958年11月、31歳の時に水産庁の漁業調査船の船医となり、5ヶ月間、航海を続けることになるのです。船の名前は「照洋丸」。東京湾から千葉の館山、そしてアジア、アフリカ、ヨーロッパを巡る長い船での生活。さらに寄港地での出来事がユーモアあふれる軽快なタッチで綴られています。

...続きを読む