2012年02月19日
坂口安吾
『堕落論』
 (岩波文庫 ほか)

終戦の翌年に発表された「堕落論」は、当時の人たちに衝撃を与えた作品ですが、今もなお多くの人達に支持されています。現代社会の中で坂口安吾の言葉はどのように響くのか。たとえば「政治による救いなどは上皮だけの愚にもつかない物である」という言葉から小川洋子さんは、「政治のせいにすることが多い現代社会。しかし本当に自分を救えるのは自分であるということを坂口安吾の文章は伝えている」と感じたそうです。「堕落論」が今もなお読み継がれているのは、時代を超えたメッセージが込められているから。坂口安吾が亡くなって今年の2月17日で57年。「堕落論」はいつの時代にも色褪せないエネルギーあふれる文学遺産です。

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