2012年02月19日

坂口安吾
『堕落論』
 (岩波文庫 ほか)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

坂口安吾の「堕落論」。学校で題名は必ず習う日本文学史の重要な作品ですが、実際に読んだことがない方もいらっしゃるのではないでしょうか?第二次世界大戦が終わって8ヶ月後の1946年4月、文芸誌「新潮」に発表されたエッセイです。「半年のうちに世相は変わった」という文章からはじまるこの作品の中で、坂口安吾は戦後に価値観を変えられてしまった日本人について鋭く迫っています。しかし戦争に負けて打ちひしがれているのではありません。言いたいことが言えるようになったことで、それまで溜まっていたものが噴きあげるようなエネルギー。タイトルとは裏腹に活気あふれる生きるためのエッセイです。

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