2012年02月12日
H.G.ウェルズ
『透明人間』
 (偕成社文庫)

「透明人間」が書かれた19世紀の終わりは、電話や自動車など世界中で様々なものが発明された時代でした。だからこそ科学は万能ではないことを伝える「透明人間」のような小説が生まれたのです。これを書いた作家のウェルズも学校で先生をしていたことのある科学の専門家で、29歳の時にはじめて発表した小説が「タイム・マシン」でした。つまり「タイム・マシン」という言葉もウェルズが生み出したものだったのです。未来を予知する力を持った作家ウェルズ。発表から100年以上たった彼の小説が今も読み継がれているのは、科学の進歩をどう人間の未来に使っていくかというヒントがあるから。21世紀になっても読む価値のある文学遺産と呼べる1冊です。

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