2012年01月22日

マイケル・モーパーゴ
『モーツァルトはおことわり』
 (岩崎書店)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

美しいブルーを基調にした装丁とタイトルを見ただけではどんな内容の童話かわかりません。しかし読んでいくにつれて「モーツァルトはおことわり」という題名に込められた深い意味が伝わってくるのです。物語の主人公は新米の新聞記者。彼は世界的バイオリニスト「パオロ・レヴィ」にインタビューするために、イタリアのヴェニスを訪ねます。しかしひとつ質問してはいけないことがありました。それはモーツァルトに関して。その理由は、ナチスによる強制収容所で起こった悲惨な事実とつながっていたのです。ホロコーストに関する文学は必ず読むという小川洋子さんがいつか取り上げたいと思っていた1冊です。

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