2011年10月09日
沢木耕太郎
『敗れざる者たち』
 (文春文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

沢木耕太郎さんが1976年に発表した本「敗れざる者たち」。ボクシング、野球、マラソン、競馬と6つのスポーツ・ノンフィクションが収められています。その中のひとつ「三人の三塁手」では、長島茂雄と同じ時代に生きた二人の三塁手「難波昭二郎」と「土屋正孝」を追いかける沢木さん。決して三者を比べるのではなく、三者三様の苦悩のあり方を見つめています。長島というスーパースターと同じ球団、同じポジションを選び、脚光を浴びることのなかった二人の選手。しかし最終的に誰が勝者で誰が敗者だったのかわからないと感じる読者も多いのでは。その部分がこの作品の魅力でもあるのではないでしょうか?

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