2011年08月14日
島尾敏雄『島の果て』
 (あすなろ出版「いのちの話」)

作家・島尾敏雄というと以前、「死の棘」という長編小説を取り上げたことがあります。17年の歳月をかけたライフワーク。島尾敏雄とその妻ミホさんをモチーフに書かれた長編小説です。実は今回の短編「島の果て」もやはり島尾夫妻の出会いがもとになっているとか。島尾敏雄は大学を卒業後、海軍予備学生を志願して訓練を受け、その後、特攻隊隊長として奄美群島「加計呂麻島」に赴任しました。そこで出会ったのが、のちに奥さんとなるミホさん。まさに「島の果て」の物語と重なります。島尾敏雄は、昭和20年8月13日、出撃命令を受けますが、即時待機のまま敗戦に。もし特攻隊として出撃していたら、小説「島の果て」も「死の棘」も生まれなかったのではないでしょうか?

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