心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
今週取り上げた「泣き虫ハァちゃん」。臨床心理学者の河合隼雄さんがご自身の子供時代をモチーフに書かれている小説です。もちろん主人公のハァちゃんは河合先生そのもの。男ばかり六人兄弟の五番目で、とっても泣き虫。いつもは元気なのに、何かの加減で体中がじーんとすると、いくら歯をくいしばっても涙が勝手に流れてしまいます。でもそれは弱虫だからではありません。人の悲しみを引き受けてしまうから。「どんぐりころころ」を聞いて、お池にはまったどんぐりがおうちへ帰れるか心配になってしまうほど。でもだからこそハァちゃんは大人になって、人の悲しみに寄り添う臨床心理学者になられたのではないでしょうか?
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