2011年07月10日
小川糸『食堂かたつむり』 (ポプラ文庫)

「食堂かたつむり」へのリクエストの中で多かったのは「幸せをあらためて教えられた」というメッセージ。実際にこの小説を読むと、料理を作る意味を考えさせられ、作った料理を食べてくれる人がいることに感謝したくなります。そして読み終わると読者の心も不思議と元気になっています。「林檎のぬか漬け」「比内地鶏のサムゲタンスープ」「新米を使ったカラスミのリゾット」などなど、物語の中で倫子が作る料理を読者もまるで食べたかのような気分になってくるからです。小説「食堂かたつむり」は主人公・倫子の再生の物語。その過程を読むことで、私たちの心にも美味しい料理の風景とともに元気が満ちてくるのです。

...前に戻る