2011年05月01日
井上靖
『あすなろ物語』
 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

番組スタートから200回となる記念すべき今週は、井上靖さんの小説「あすなろ物語」を取り上げました。5月6日は井上靖さんのお誕生日。今から104年前の明治40年にお生まれになっています。「あすなろ物語」は井上靖さんが46歳の時の作品。自伝的要素が強いとも言われています。主人公の少年・鮎太は、天城山麓の小さな村で祖母とふたり土蔵の中で暮らしていました。そこからはじまる少年の成長記。13歳の鮎太が青春時代を経て大人になり、やがて新聞記者として終戦を迎えるまでが6つの短編小説に描かれています。井上靖さんというと、以前「天平の甍」を読んだことがありますが、それとはまた違った魅力のある作品です。

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