2011年04月03日
田山花袋『蒲団』  (新潮文庫)

田山花袋の「蒲団」は、国語の授業でも名前があがるほど、日本文学史にとって重要な作品。自然主義を代表する小説として、近代文学の第一歩を記す作品だからです。では自然主義文学とはいったいどんなものなのでしょうか?「夢を追う浪漫主義に対して、あるがままの真実の姿を追求するのが自然主義」。なるほど確かに小説「蒲団」には、恥ずかしいまでに人間の弱さが赤裸々に描かれています。「蒲団は日本の私小説の原点」と小川洋子さん。「蒲団」の発表から100年以上たってもその文学の流れはすたれることなく続いていて、その一番先にあるのが、先日、芥川賞を受賞した西村賢太さんの「苦役列車」かもしれません。

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