2011年03月27日
桐野夏生『ナニカアル』  (新潮社)

桐野夏生さんのように、現代作家の中で、林芙美子にひかれる人は多いようです。角田光代さんもそのひとり。林芙美子の紀行集「下駄で歩いた巴里」が好きで、角田さん自身も、林芙美子と同じ距離を旅しています。ではなぜ、現代の女流作家が、林芙美子にひかれるのでしょうか?「今の時代、女性が作家として活動できるのは当たり前になっている。しかしそれは先輩の女流作家の苦しみがあったからこそ」と小川洋子さん。女性が文章を書くことが認知されていない時代に、林芙美子のような存在が頑張ったからこそ、今のような時代が来ているのです。桐野夏生さんの「ナニカアル」を読んで林芙美子に興味を持った方は、ぜひ林芙美子の文学も手にとってみて下さい。

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