2011年02月06日
司馬遼太郎
『菜の花の沖』
 (文春文庫 1〜3巻)

「菜の花の沖」というタイトルに、司馬遼太郎さんはどんな想いを込められていたのでしょうか?生前、こんなふうに語られています。「嘉兵衛が生まれた淡路島は、季節になると、菜の花畑で真黄色でした。六甲山麓にはその頃たくさんの搾油用の水車がまわっていて、圧倒的にマニュファクチュアの時代でした。その油が、酒や醤油などとともに西宮港などから四方に積み出されていました。その時代的光景を‘菜の花’という言葉に託したつもりです。」この言葉を読むと、小説「菜の花の沖」の冒頭が浮かんできます。「野がひろがり、水田が空の色を映している。」という淡路の風景。この場所から長い長い物語がはじまります。

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