2011年01月16日
ポール・ギャリコ
『雪のひとひら』
 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

「ハリスおばさんパリへ行く」や「スノーグース」などでも知られるニューヨーク生まれの作家ポール・ギャリコ。様々な代表作の中から、今回は雪の季節にちなんで「雪のひとひら」を選んでみました。ある寒い冬の日、はるか空の上で生まれた雪のひとひら。彼女は、ゆっくりと時間をかけて地上へと舞い降りていきます。そこからはじまる雪の一生。川を流れていくうちに愛する人にめぐり逢い、やがて子供をさずかり豊かな時間を生きていきます。その後、切ない別れを経験し、たったひとり人生の終わりを迎えるのです。雪に託して女性の一生を描いたファンタジー。読み終わったあと、まるで心が透明になるような作品です。

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