2010年11月28日
三浦哲郎『忍ぶ川』 (新潮文庫)

新潮文庫の「忍ぶ川」には、この作品の他にも6つの短編小説が収められています。「初夜」と「帰郷」は、「忍ぶ川」の続編とも言える短編小説。「初夜」は二人が新婚旅行に行くところからはじまります。そして宿命を抱えた二人は子供を持つことに苦悩するのです。しかしその宿命をも乗り越えていく志乃と私。続いての短編小説「帰郷」は、志乃のおなかに7カ月の赤ちゃんがいるところからはじまります。三浦哲郎さんの私小説とも呼ばれる3つの作品。共通するのは、主人公の二人にも、彼らをとりまく人々の間にも「いさかい」がないこと。だからこそ読み終えた時、読者の心にも切なさを伴った小さな幸せが花開くのではないでしょうか?

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