2010年11月21日
織田作之助
『夫婦善哉』
 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

大阪出身の作家、織田作之助の「夫婦善哉」。昭和15年に発表された短編小説です。主人公の蝶子は、どんなお座敷でも元気にふるまう気丈な芸者。彼女は、妻子ある卸問屋の息子・柳吉にほれ込み駆け落ちして所帯を持つようになります。しかしまったく甲斐性がない柳吉。思いついて次々はじめる商売も長続きしません。そんな彼を支え続ける蝶子。やがて二人の間には、離れられない絆が生まれてくるのです。大阪弁とテンポある文章。魅力的な登場人物。笑いあり涙ありの物語に読者もひきつけられていきます。「読み終えたあとも蝶子と柳吉のその後が気がかりになるくらい。」と小川洋子さんも感じた名作です。

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