2010年11月14日
トルストイ『イワン・イリイチの死』
 (光文社古典新訳文庫)

トルストイが小説の執筆に最も力を注いだのは40代。「戦争と平和」や「アンナ・カレーニナ」と言った長編小説を完成させた頃でした。しかしその後、トルストイは、作家としての達成感と栄光のかげで深刻な精神の危機を味わっていたそうです。人間の営みのむなしさ、避けがたい死への感覚にもとりつかれ自殺まで考えたと言います。そんな中、トルストイはどうやって人生の道を見つけていったのでしょうか?今回、テキストに選んだ光文社古典新訳文庫の「イワン・イリイチの死」には、「クロイツェル・ソナタ」という小説も収められています。二つの作品はどちらもトルストイが苦悩の果てに辿り着いた場所。作家トルストイを知る上でも貴重な後期の小説です。

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