2010年08月01日
アーネスト・T・シートン
『狼王ロボ シートン動物記』

(集英社文庫)

大人になって、あらためて「狼王ロボ」を読んで驚いたのは、ロボと攻防を繰り広げるのがシートン自身だということ。ニューメキシコで牧場を経営する知り合いから頼まれたことがきっかけで、シートンはロボと呼ばれる狼を捕獲することになります。実際に捕まってしまったロボとその妻ブランカの写真が残っているのもそのためです。しかしこの物語は単なる動物の記録に終っていません。そこには誇り高きロボを認めるシートンの強い想いと、その存在を残していけるのは自分しかいないという使命感があふれています。その後、シートンは自分のサインに狼の足跡を添えるようになりました。生涯変わることのないロボへの想いを表現するために。

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