2010年07月18日
上橋菜穂子
『狐笛のかなた』
 (理論社、新潮文庫)

上橋菜穂子さんの「狐笛のかなた」は、2004年に野間児童文芸賞を受賞しています。しかしこの小説は、子供だけでなく大人をも虜にしてしまう魅力を持っています。「スケールが大きく、脇役までひとりひとり魅力的に書き分けられている。」と小川洋子さん。数行読み始めただけで入り込める不思議な世界観の小説です。「狐笛のかなた」は、いつの時代の、どこの物語かは限定されていません。作者の上橋菜穂子さんによると「自分の心の底にある‘なつかしい場所’の物語」なのだそうです。この小説を読むと、読者の私たちも何故か懐かしい想いが蘇ってきます。それは「狐笛のかなた」に描かれている世界が、日本人にとっての原風景でもあるからなのかもしれません。

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