2010年06月20日
椎名誠 『岳物語』 (集英社文庫)

「岳物語」を読んでいると、息子である岳君の可愛さと魅力に引き付けられてしまいます。そして出版から25年、今、岳君はどんな大人になっているのだろう?そんな想像もふくらませてしまいます。しかし椎名誠さんは、「岳物語」のあとがきで「私の四冊目の小説集です。そしてはじめての私小説となりました。」と書かれています。つまりこの作品は、椎名家のありのままを書いたエッセイではなく、本当のエピソードをベースに生まれた私小説だったのです。「読者である私たちも、あくまで小説として読むのが礼儀。」と小川洋子さん。小説としてあらためて味わってみると、また違った楽しみ方が出来るのではないでしょうか?

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