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椎名誠 『岳物語』 （集英社文庫） |
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。小川洋子さんが、子育てに奮闘していた頃、いつも傍らに置いて励まされていたという本「岳物語」。作家で写真家、映画監督でもある椎名誠さんが、息子・岳君とのエピソードを綴った1冊です。1985年に出版された当時、人気の高かった作品を、「父の日」にちなんであらためて読んでみました。椎名誠さんは、「岳物語」のことを「自分と息子との人間づきあいの話」と書かれています。その言葉には「親子という関係が人間づきあいの基本である」という想いが込められているのではないでしょうか？息子である前に、ひとりの人間として岳君を見つめているからこそ、そこに素晴らしい父と子のつながりが生まれるのです。