2010年06月13日
芥川龍之介
『トロッコ』
 (ちくま文庫ほか)

大正11年、芥川龍之介が30歳の時に発表した「トロッコ」。実はこの小説にはもとになる素材がありました。芥川を慕って、自宅にも訪れていた力石平蔵という人物が、5~6枚の下書きを渡したそうです。それをもとに芥川が一晩で書き上げたのが小説「トロッコ」でした。芥川龍之介というと、「メロディアス・ライブラリー」では、2年前にも「羅生門」を取り上げましたが、この作品も「今昔物語集」をもとに書かれた短編小説でした。「想像力を働かせるスイッチは作家それぞれ。」と小川洋子さん。芥川龍之介の場合は、すでに存在する物語の中に隠れた魅力を感じた時、小説を書くための想像力があふれてきたのかもしれません。

...前に戻る