心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
サッカーのワールドカップを前に、その開催地となっている南アフリカのノーベル賞作家J.M.クッツェーの小説「鉄の時代」を取り上げてみました。舞台もまさに南アフリカ。時代は1980年代後半。主人公であるミセス・カレンは、ケープタウンの白人住宅街に暮らす70歳の女性です。彼女はガンの再発を医師から告げられ、アメリカにいる娘に宛てて遺書のような文章を残しはじめます。そこに綴られていくのは魂の言葉。死へ向かう自分の想いと激動の時代をどう生きてきたかということ。ミセス・カレンの声がそのまま伝わってくるようで、小説を読み進めていくうちに彼女の心に寄り添うような感覚を覚えます。
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