2010年05月23日
トーマス・マン
『ヴェニスに死す』
 (岩波文庫ほか)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

イタリアのルキノ・ヴィスコンティ監督が映画化したことで知られる「ヴェニスに死す」。原作は、ドイツの作家トーマス・マンが1912年に発表した小説です。この物語の主人公は名高く年老いた作家グスタフ・アッシェンバッハ。ミュンヘンで暮らしている彼は、5月のある日、旅への想いが高まり、イタリアのヴェニスを訪ねます。そこで出会ったのは上流階級のポーランド人家族。やがてアッシェンバッハは、その家族の息子タッジオに強く惹かれていくのです。小説を読むと浮かんでくるのはやはり映画に登場していたあの美少年の姿。そして主題のように流れていたマーラーの交響曲第5番です。

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