2010年05月09日
『小川未明童話集』 (新潮文庫)

「赤いろうそくと人魚」は、新潮文庫の「小川未明童話集」、さらにちくま文庫の「小川未明集」にも掲載されています。ちくま文庫には、文豪怪談傑作選というサブタイトルが付いていて、小川未明が残した怪奇幻想小説の集大成になっています。その中で印象的な作品のひとつは「過ぎた春の記憶」という短編。主人公の正一が、村の子供たちと「かくれんぼう」をしていると鼠色の衣物を着たひとりのお坊さんに出会うという物語です。そのお坊さんの正体とは何なのか。静かでありながら衝撃的なラストシーンが心に残ります。小川未明をあらためて読んでみたいという方は、新潮文庫か、ちくま文庫。自分の好みで選んでみてはいかがでしょうか?

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