2010年05月09日
『小川未明童話集』 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

5月11日は、童話作家・小川未明の命日。その日を前に代表作「赤いろうそくと人魚」を取り上げてみました。大正10年に発表されて以来、多くの人に読み継がれている作品。その物語は、人魚の母親が蝋燭屋の老夫婦に、生まれたばかりの自分の娘を託すところからはじまります。ところが欲に目が眩んだ夫婦は、美しい娘になった人魚を売ってしまうのです。ではなぜ小川未明はこのような童話を書いたのでしょうか?実は小川未明の家は、代々、子供が育たないため、彼も生まれてすぐに蝋燭造りの家に養子に出されたとか。この体験が小川未明の中に残り、両親への疑問を心の奥に持ち続けることになったそうです。

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