2010年05月02日
山本兼一
『利休にたずねよ』
 (PHP出版)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

2008年の直木賞受賞作・山本兼一さんの「利休にたずねよ」。もちろんこの利休とは、安土桃山時代の茶人「千利休」。彼は、織田信長、豊臣秀吉という二人の天下人に仕え、茶道千家の始祖となった人物。しかし秀吉の勘気に触れ切腹を命じられてしまいます。この小説は、千利休が亡くなる天正19年から時間をさがのぼった作品。利休が美を追い求めるエネルギーの源には何があるのか。その大きなテーマを探りながら過去へと向かう描き方はまるで推理小説のようでもあります。さらに出てくる登場人物が大物揃い。信長、秀吉はもちろんのこと、徳川家康、石田三成など、歴史上の人物が生き生きと描かれているのも魅力です。

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