2010年04月04日
壺井栄『二十四の瞳』 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

1954年には高峰秀子さん、1987年には田中裕子さんが主演して映画化された「二十四の瞳」。原作は、壷井栄が1952年に発表した小説です。舞台は、瀬戸内海に浮かぶ島。その岬にある分教場に、若くて美しい女の先生が赴任してきました。名前は「大石久子」。この大石先生と分教場で学ぶ12人の教え子たちとの心のつながりを描いた作品です。物語のはじまりは、普通選挙法による最初の選挙がおこなわれた昭和3年の春。女性にはまだ選挙権がなかった時代に、先生を目指した「おなごせんせい」と、彼女に気持ちを通わせていく子どもたち。貧しいけれど大人も子供も懸命に生きている姿が、生き生きと伝わってきます。

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