2010年03月21日
藤原正彦
『若き数学者のアメリカ』
 (新潮文庫)

「世界的な博士は、文章を書く才能も持っている。」以前、湯川秀樹博士の自叙伝「旅人」を取り上げた時にもこう感じましたが、今回、藤原正彦さんの「若き数学者のアメリカ」を読んで同じ感想を持ちました。「自叙伝であっても客観的に観察して書き上げている。」これが博士の文章に共通するもの。だからこそ読む側もそのエッセイの世界に無理なく入っていけるのです。藤原正彦さんは、お父様が作家の新田次郎さん。お母様が「流れる星は生きている」を書かれた藤原ていさん。やはり言葉に対する特別な才能をご両親から受け継がれているのです。藤原正彦さんは、この「若き数学者のアメリカ」で、1978年に日本エッセイスト・クラブ賞も受賞されています。

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