2010年03月21日
藤原正彦
『若き数学者のアメリカ』
 (新潮文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

日本を代表する数学者・藤原正彦さんは、1972年の夏、アメリカのミシガン大学に研究員として招かれます。その後の日々を自ら綴ったエッセイ「若き数学者のアメリカ」。これは小川洋子さんが大好きな1冊でもあります。小川さんがこの本を読むきっかけは、小説を書くための資料としてだったそうですが、読み始めたら夢中になってしまったとか。そして生まれたのが「博士の愛した数式」です。小川さんのこの小説には数学者と子供との心のつながりが描かれていますが、そのストーリーの骨格がつかめたのも「若き数学者のアメリカ」を読んだから。それほど小川さんにとって大きな存在となった藤原正彦さんのエッセイです。

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